現状の危機は数字で把握し、未来に備える

今、昨日の都内の新規感染者数やクラスターの発生場所について、多くの人が正確に把握していますが、今回の新型コロナによる日本国内の死者数がどれくらいか把握している人はあまり多くないように感じています。

この未曾有の危機を数字で把握することについて、強制を求める日本人?コロナ報道との付き合い方でも触れましたが、また少し違った視点で状況を把握するための数字を挙げてみます。

<アメリカ>
インフルエンザによる年間死者数 6.1万人(2018年時点)
新型コロナによる死者数 12.9万人(前日末時点)

<日本>
インフルエンザによる年間死者数 3,517人(2019年時点)
新型コロナによる死者数 972人(前日末時点)

アメリカの人口は日本の3倍程度しかありませんから、日本はアメリカに比べて桁違いに感染による被害が少ないと言えます。
また、日本はインフルエンザの方が死亡者数が多いことを知っている人もあまり多くありません。

これは日本の新型コロナウイルスによる脅威が大したことがないと言いたいのではありません。
今、日本では前日の新型コロナ感染者が何十人増えたか減ったか、新宿や夜の街は危ない、という足元の情報に注目しがちですが、併せてこの危機的状況を俯瞰し、いち早く次のアクションを考えておく必要があります。

世界を待つのではなく、一歩先へ。

新型コロナウイルスによる混乱は世界中でまだまだ続きそうです。
当初、今年の秋には収束するのではと言われていたのが、ハーバード大の研究によれば、アメリカではこのままの状況が続けば9月で死者は20万人に達すると予想されています。
一方、日本の感染の規模については、前述のとおり、再び増加傾向にあるものの、依然として海外とは桁が違います。

フランスの経済学者ジャック・アタリは「日本は結束、知力、技術力、慎重さといった危機に対応するための要素を備えている国である。また、島国のため他国に比べて出入国を管理しやすい。日本はこの危機が終わったとき国力を高めているだろう」と言っています。

現在の日本の状況を考えれば、今のうちに国内で、目の前の事業に集中しつつも、新しい時代に対応するためのブランドをしっかりと構築するべきです。

既に国内の様々な業界で、市場規模の大幅縮小や、反対に新たなビジネスが誕生しています。
今、世界が「落ち着く」のを待っていると、次の嵐がすぐそこに控えているかもしれないのです(昨日の中国で発見された新型インフルエンザのように)。

新たな顧客の要望に応えられるためのビジネスモデル、商品開発、店舗づくり、マーケティングに、それを実現する従業員の働き方まで、既に変化している社会のあり方や価値観に関する議論に注目したいところです。