昔、お店はテーマパークだった
田舎に住んでいた子どものころ、母にお店に連れて行ってもらうのが好きでした。
住んでいたのは小さなスーパーが1つあるだけで映画館もない小さな町だったのに、うちの両親は毎週のように軽自動車で50キロ以上ある大きな街まで出かけるのがお決まりでした。
当時の僕は、毎週のお出かけについていくのが一番の楽しみでした。スーパーで食事の買出しから、百貨店でバーゲンセールの下見まで、はじめて目にする食材や、華やかな洋服たちを眺めながら、お店に行くたびに別の世界に行ったような気がしていました。
きっと、当時は僕だけでなく、子どもたち、いや大人も含めて、お店で買い物をするのは少し背伸びをしてお洒落をしたりして、立派なエンターテイメントになっていたと思うのです。
今、お店に行く理由が変わった
国内でYahooや楽天で何でも買い物ができるようになってきて、Amazonが入ってきて、それぞれの企業がECサイトを持つようになってから、気が着くとお店で商品を買う頻度が減ってきています。それまでいくつかの決まったお店で買っていた生活用品や洋服、趣味のスポーツ用品も、いつものあの店で全部揃えるということが減り、オンラインでより自分にぴったりなブランドのものを多くの選択肢の中から選べるようになってきました。
同時に、お店に行くだけでわくわくしていたあの感動はだんだんと薄れてきているのかな・・・
今、お店に行く理由は、20年前とは驚くほど変わってきています。
商品があるだけで何それ?となっていた時代とは違い、どんな商品があるのかは事前に何となく知っていることが多くなりました。洋服を買うにも、SNSで最近同年代に流行しているスタイルも何となく知っているし、好きなブランドであれば今だけの限定商品だって写真で見て知っている。
つまり、お店に行く背景として、事前に知らなかった時代から事前に知っている時代に変わったと言えます。
ブランド側からすれば、良い商品を取り扱っていればユーザーが集まってきてくれた時代から、良い商品を取り扱っている上で、ユーザーがわざわざお店に来る理由をつくる必要があるのです。
ユーザーがお店に来る3つの理由おさえる
ブランドにとって、ユーザーがお店に来る理由をつくることは良い商品をつくることと同じくらい大事なことです。以下を理解した上で、自分たちの強みを生かした情報発信を行い、ユーザーがお店に来る理由をつくりましょう。
1. 顧客はリアルなつながりを求めている
顧客にとってこのブランドはどんな人がつくっているのか、どんな想いで商品がつくられているのかを知ることは大切なことです。
2. 顧客はより自分の個性を表現することを求めている
自分にとってこのブランドはふさわしいか、このブランドの商品を使っていると周囲からどんな評価をされるのかということは大切なことです。
3. 顧客は本物を求めている
実際に商品をみて、ブランドを見て、情報が本当に正しいかを判断することはユーザーにとって大切なことです。
(後編に続く)