小売店でどんな商品がいつ売れているのか、飲食店でどんなお客様が何を注文しているのか・・・毎月の売上総額だけで一喜一憂せず、一歩踏み込んで購買データを分解してみることをおすすめします。ビックデータがマーケティングで使われているように、購買データを紐解く事で顧客動向のくせや店舗の特色を知ることができるのです。勘や経験に頼らず、数字から売上アップのチャンスを捉えるにはどうしたら良いのでしょうか?

まずは売上の全体像を把握する

売上は「客数×客単価」で求めることができます。さらに分解すると、客数はユニーク客数×来店回数で、客単価は買上点数×商品単価となります。
全ての数字を売上分解ツリーとして図にすると、数字の相関性が可視化でき購買データとして見やすくなります。

売上分解ツリー

流通用語での「客数」とは「一定期間のレジ通過客数」を指します。客数を増やすためには、遠くからの来店を促進したり、新規顧客を増やしたりしてユニーク客数を増やすか、顧客の来店回数(=来店頻度)を増やす2つの策があります。小売店や飲食店が不足していた時代は、店舗の特色を色濃く出すことで広域顧客を増やすことに成功していましたが、店舗飽和状態の現代では、いかに来店頻度を増やすかが客数UPの鍵となっています。

「客単価」とは「来店客1人当たりの平均購入金額」で、「売上高÷客数」で計算します。また客単価は、「商品やサービスの買上点数×商品単価」と表すことができます。客単価を上げるには、買上点数を増やすか商品単価を上げるかのどちらかになりますが、一般的に商品単価を上げると客数が減る傾向にあるため注意が必要です。

購買データを見るときは5つのWに注目

売上ツリーを作って図解したら、次にこの数字を分析していきましょう。この時注目すべきは5つのW・・・「WHO誰が」「WHAT何を」「WHENいつ」「WHEREどこで」「WHYなぜ」です。

例えば、コロナ禍前後で月間の売上が変わらなかったスーパーがありました。売上総額だけに注目すれば変化はありませんが、売上を分解すると見える景色がかなり変わってきます。

コロナ禍前

コロナ禍後

この売上分解ツリーを5つのWで読み解くと、こんな仮説が浮かんできます。
WHO誰が:このスーパーの商圏内の顧客が
WHAT何を:生活必需品を
WHATいつ:今までより少ない頻度で
WHEREどこで:このスーパーで購入した
WHYなぜ:コロナ禍で人との接触を避けるため買い物頻度を減らした

この仮説を基に、まとめ買いがお得な企画を展開したり、一定金額以上を購入した顧客へ配送サービスを行うなど、顧客が求めるサービスを考えることが出来るかもしれません。売上の中身に目を向けることで売上を伸ばすチャンスを発見することができます。数字から見えてきた課題によって、次に取るべきアクションを試案しましょう。