膨大な数の商品が置いてあるスーパーや小売店で、顧客の買い物カゴの中身は千差万別です。野菜や脂肪分の少ない肉、大豆製品を多く購入していれば、ダイエット中か健康意識が高い顧客かもしれません。新商品を好んで買っていれば、トレンドに敏感で好奇心の強い顧客かもしれません。
買ったものからお客様のライフスタイルが分かると同時に、なぜその商品を購入しているのか、どんな使い方をしているのかを探るために、顧客の買い物カゴの中身を分析してみましょう。

一緒に買われている物に注目!バスケット分析とは?

小売店で顧客がレジに持っていく買い物カゴ(バスケット)を1つの単位として、併売(商品(どの商品とどの商品が一緒に買われたか)を調べることを「バスケット分析」と呼びます。これは商品Aと商品Bの売れ行きの関係を分析する手法です。

買い物カゴには顧客のストーリーがあります。例えば・・・
・一週間分の食材や日用品をまとめ買いしている忙しいキャリアウーマン
・子供の急な体調不良により衛生用品やゼリーなどを買いに走ったお父さん
・初デートに向けて洋服やアクセサリーを新調した女性
買い物カゴの中身から推察されたライフスタイルや人物像を元に、商品配置などの売場づくりや商品開発に活かせるアイデアを得られるのがバスケット分析の魅力です。

バスケット分析のやり方

バスケット分析は「併売率」を「買上率」で割ることで求められる「リフト値」を見ることで行います。
「併売率」とは、ある商品(A)が別の商品(B)と一緒に売れた割合です。
「買上率」とは、買い物全体に対する併売商品の割合です。
「リフト値」とは、ある商品(A)を購入した人が別の商品(B)も一緒に購入する確率(事象の発生しやすさの割合)のことです。

コンビニを例に解説してみます。

  1. おにぎりとペットボトルの緑茶の併売率
    おにぎりを購入した全体数=100件
    おにぎりとペットボトルの緑茶を購入した件数=20件

    おにぎり+ペットボトルの緑茶(20)÷おにぎり(100)×100=20%
    おにぎりを購入した100人の内20名がペットボトルの緑茶も購入したので、併売率は20%となります。
  1. おにぎりとペットボトルの緑茶のリフト率
    おにぎり+ペットボトルの緑茶の併売率は20%、ペットボトルの緑茶の買上率が5%(総レジ通過客の5%が購入)の場合、リフト値は4(20÷5)となる。
    一般的にリフト値が2以上であると相関関係が強いと考えられているので、おにぎりとペットボトルの緑茶は一緒に買われる割合が高いと言えます。

バスケット分析を活用した売場づくりで売上UP!

商品同士の相関関係をリフト値で割り出すことができたら、それをヒントに売場の陳列や動線を見直してみましょう。売れ行きの悪い商品の近くにリフト値の高い商品を並べてみたり、意外な組み合わせでリフト値が高いものがあったら、売り場の数カ所に配置してみたりと、バスケット分析したデータを活用し、売場デザインを更新させてみるのはいかがでしょうか。